二部さん

北海道の彫刻家二部さんと久々に話をした。昨年秋、夕張から知床へ工房を移した。以前から知床で仕事をしたいとは聞いていたが、ちょっと驚いたのも事実。15年くらい前知り合った時は札幌と小樽のほぼ中間地点の銭函に工房があった。知床への移住を具体的にしたのは12年前サハリンに「日ソ不戦の碑」という彫刻の原型を作り、一昨年ロシアの作家が原型をもとに彫刻を設置してからだろう。
アムール川からサハリン、稚内、知床へと流氷は漂着する。北方4島を含め流氷が辿る地に石の彫刻を置く。壮大な夢への一歩として知床へ居を構えた。
「岡山は暑くて大変でしょう、今こちらはとても気持ちよくて、もうすぐ地元で開く展覧会のためにランニング1枚で石彫ってまーす」
「家の近くにヒグマの足跡があったんですけど挨拶できなかったんですよねー、今度はこちらから挨拶に行こうと思ってる所なんですよねー」
いつもの二部さんだ。でも、1月、2月でも「今、マイナス20度ですけどねー、空気が澄んでて気持ちいいですよー」と返ってくる。彼には1年中気持がいいのだ。「この計画100年くらいかかりそうなんですよねー、もうすぐ60になりますけどねー、後100年は生きなきゃいけないですよねー」と笑っている。
 ここ10年ほどグロスの年明けは二部さんの個展で始まる。1年を振り返るのも、新しい年を考えるにも二部さんのテラコッタ作品は温かい。
 秋に開く「ふくろう展」への出品を約束。近いうちに新作の写真と知床便りを送ってくれるらしい。今までたくさん手紙をもらったが、その中の1つにこんな文面があった。
「僕たちに春は来るのでしょうか、その時がくるのを信じてその時まで互いに誠実にいきましょう」。




一昨日のコメントにお答えします。
 「髪」の件ですが、後10年は現状維持に努めます。
 「師匠」は「先生」に変更します。二重登録は削除出来ました。これも日頃のお教えの賜物と感謝しております。