蜂谷秀人の「銀輪の国から #7」

 アルプスの山はいつ昇っても気持ちいい。今年の撮影ポイントは頂上に大きな牧草地が有り、何頭のもの牛が奏でるカウベルが聞こえる。
 今年が違うのは日本人が多いことか。大阪から来たというサイクルファンの男性と話をした。漢字で書かれた寿司ネタが書かれたTシャツを成田で買ったそうで、完全に日本人を周囲に撒き散らしていた。有り難いことに小生の書いた本の読者だった。「ハッセルブラッドを買った方が良いかどうか」の質問をアルプスで受けるのは、カメラ馬鹿としては光栄だった。
 いよいよツール本体がやって来た。何とマイヨージョーヌが先頭集団にいる。キツイ山岳でもあっという間に通り過ぎる。ただ撮るのが精一杯だ。その後はアレコレ考えて違うアングルで撮った。
 いよいよ最後の集団が通り掛かると、ブイグテレコムチーム(フランスの携帯電話会社)に在籍する日本人、新城選手が見えた。本来ならカメラを構えるところだが、声援を送らずにはいられなかった。「新城、頑張れ!」と声をかけると彼はニッコリ笑ってくれた。
 いつも外野から見ていたツールが日本人出場で身内のような近親感を抱いて見られるようになったのが、何より嬉い。大阪の寿司ネタTシャツ氏も友人と手書き日の丸をかざして大声を張り上げている。
 「毎年この気持ちで応援出来たら…」と心からそう思った。アビヤント!



朝、メールを開くと#7,8,9が届いていた。蜂谷氏も忙しさと疲れで毎日送信は大変なんだ、きっと。
#8は明日載せますね〜。