蜂谷秀人の「銀輪の国から #14(最終回)」

 パリ最終日に体調が悪くなり、胃炎になった。パンシロンはあるので多少改善はしたが…。やはり五十代が近づくと今まで予想だにしなかった異変が現れる。足に湿疹が出来たし、めまいも出る。とにかく体は正直、疲れが予想以上にたまっているのだろう。
 シャルルドゴール空港でその疲れを癒すような出来事があった。いよいよジャンボに乗るとき、担当者がチケットを交換した。何とビジネスクラスへグレードアップとなった。こんなことは初めてである。小生は大韓航空マイレージカードを持っているので貯まったポイントがこの幸運を呼んだのかも…。
 ジャンボの2階に上がると広々したシートがゆったりとレイアウトされている。周りはビジネス慣れした人ばかりである。家族四人で搭乗した韓国人は、いきなり電動シートを調節する。こっちは見よう見真似でボタンをいじくる。その奥さんはラデュレというパリの超高級菓子店のマカロンを、機内食用に持ち込んでいる。一つ400円くらいするマカロンは贈呈品用のような存在なので、自食にするとは驚いた。ウオン安で大変な韓国でもお金持ちは居るものだ。
 ほぼ水平になるシートは楽で良く寝られた。胃痛で心配したが、料理も何とか美味しく食べられた。映画も往復6本も観られ、見逃した作品が堪能出来たのも嬉しかった。しかし、禍福はあざなえる縄の如し。フランスの空港免税店で土産に買ったアルコールがインチョン空港で没収になった。乗り換えのセキュリティーチェックで、瓶のサイズが大きすぎるらしい。昨年は同じ内容でもOKだったのに、今年は厳しくなった。直行便なら問題無しだが、今後はインチョンで乗り換える限り、パリの空港ではアルコールは買えなくなった。ちなみにこの没収品の中には川本さん用のベビーシャンパンもあった…。アビヤント!アラネプロシェンヌ!(来年までサヨウナラ)