蜂谷秀人の「銀輪の国から #13」

 パリにはマイバスと呼ばれる日本人向け観光ツアーがある。パリに着いて二日目、パリ半日観光に乗車した。3000キロ近く運転してきてハンドルを持たずに、イロイロ連れていってくれるのは有り難い。今までなんとなく見てきたものが説明を聞くとよくわかる。
 ただ周りを見渡せばカップルと家族連れ。一人者は小生だけである。やはりパリは憧れの都、日本人にとっては何かオメデタイ時に訪れる特別な場所なのかもしれない。
 夫婦連れを見ると奥さんが綺麗な人ばかり。齢を重ねてもエステや高級化粧品を欠かさない高所得者の香りがぷんぷんしている。だんなはというと街金融業者が持っているようなクロコダイルの小さな手提げ鞄を持っていたり、一見して医者と分かるような感じだったり、とにかくリッチな感じだ。
 シャンゼリゼ大通りの中ほどにLOUIS VUITTONの本店があり、そこを通りかかった瞬間エステマダムが凄い勢いでデジカメのシャッターを押す。HERMES本店があるサントノレ通りの付近を通過すればクロコダイルおやじが「金が無いからHERMESで安いネクタイでも買おうかな」と非常に嫌味なことを囁く。
 恐らくツアーの後、美人妻と連れ立っLOUIS VUITTONHERMESに行き、嬉しそうにオレンジ色の紙袋を持ち歩くのだろう。
 今回は本当に土産というモノを買わなかった。ロマネコンティの石と葉っぱくらいしか無い 。やはりツールで行くフランスと旅行で行くフランス、かなりの差があることを今回のツアーでまざまざと感じた。アビヤント!



ロマネコンティと言えば開口健ですよね。石と葉っぱを側に置いて文庫本を読む、妄想と幻想の中ではちびちび飲む髭も角もロマネコンティ。
VUITTON?HERMES? ワ カ ラ ナ イ。



番町のTさんが「ソーメン瓜」というのを岡ビルで買ってきた。私に直ぐに作って見てという。4㎝くらいに輪切りにして茹でるとソーメンのようになるらしい、が、ならない。解すとソーメンのようになると言ったが、ならない。ならなかったが冷やして醤油とレモン汁で食べてみると美味しかった。Tさんの夕飯はこれにウナギとシジミがつくらしい。ウナギのおすそ分けは?無い。