蜂谷秀人の「銀輪の国から #11」

 やっとパリに着いた。一日で660キロ、今回のレンタカーでの旅は全走行距離2799キロだった。以前はもっと走っていたが、この歳にしては良く走ったと思う。シャルルドゴール空港で返却、肩の荷が降りた。これからはハンドルを握らなくて良いのが凄く嬉しい。
 パリの定宿に着いて、とにかく晩飯に行く。いつもの中華料理店を目指すも休業。日曜日も空いている店だが、ついに休み出したらしい。ホテル周辺で空いてる店を探すと日本食の店が空いていた。入ってみると少し怪しい。ひょっとして中国人経営?そのものズバリだった。
 店内には中国の音楽が流れ、飾りモノの刀も三国志に出てくるような真っすぐな剣だ。何で中国人がフランスで日本食何だろうか?
 例えば日本でフランス料理店に行ったらシェフがドイツ人だった…、みたいなものか。それでもそのシェフがフランス料理に対し研鑽を積んでいるのなら分かる。しかしこの日本食レストランの経営者は全く、それを感じない。味噌汁に蓮華が入ってくる。それもスープみたいな扱いで、それだけ単体でやって来る。主菜の焼鳥も照り焼き風味のオンパレードで、まずくは無いが工夫が皆無である。最後に酒を勧められたが、恐らく日本酒と似つかぬモノだろう。以前からこのような店がいい加減な酒を提供し、フランスでの日本酒評価が悪くなったという話がある。
 つまりこの中国人は、ぱっと見がフランス人には日本人と見分けがつかないことを利用しており、中華料理で勝負が出来ないからイミテーションの道を進んでいるのだろう。このようなしたたかさを恥じて欲しいものだ。こんな店に足を踏み入れ。売り上げに加担した小生も反省しなければならない。
 最後にグロスのベルギーワッフルは川本さんが提供するが、勿論ベルギーに対し敬意を持って焼いていると信じてる。アビヤント!


蜂谷秀人の「銀輪の国から #12」

 パリに着いて初日は大変な寒さだった。どうせ昼から暑くなるだろう思ったら、見事に裏切られた。こんな時に限って10日履いていたズボンを洗濯してしまった。何せホテルの真ん前がコインランドリーなのだ。ツールを追っていた時は毎日、その日に着ていたモノを手洗いしていた。固形洗濯石鹸でゴシゴシするのだが、所詮男の素人作業。やっぱりランドリーがあれば、徹底的に綺麗になるような気がする。乾燥機に入れたものの、半乾きかもしれないのでホテルのクローゼットで吊して出掛けた。
 しかし寒い。正午過ぎて暑くなるどころか雷雨になり、めちゃくちゃ冷えてきた。丸善で買った折りたたみ傘では扱えないような雨量だ。知人への土産も有り、タクシーで移動となった。感じの良い運転手さんでツール出場の日本人が完走したことをとても喜んでいた。何とかホテルに着き今日の用件は終わり。
 何となく今まで使ったカードの利用代金をアバウトながら足し算をしてみた。希望的観測は打ち砕かれ、目を閉じる度に「帰国後は何のカメラを売ろうか…」と考える。勿論この足し算には携帯電話使用料や帰国後発生する現像代は含まれていない。ましてオペラ座付近の両替商の表示をみると円安になっている。出発前は1ユーロ130円を切っていたのが今の表示は140円を超えている。衆院選次第では政権交代となるからだろうか?とにかくマズイ状況になっているのは確実である。
 帰国後にまずグロスで発する第一声は「チケット何枚残ってます?」になるだろう。残り少ないチケットを大事に使い、暑いから立ち寄るようなグロス利用を控えなければならない。アビヤント!



ツールのレポートが終了し、もう来ないかな?と思いきや蜂谷氏はやっさしいがなです、二つ着きました。
その上午後4時(フランス時間朝の8時過ぎ)に電話がありました。
「もういいですか〜」
「いえいえ帰る間際までお願いしま〜す」
「じゃあ後2回おくりますね〜」と。
帰りは金曜日の夜8時半岡山空港ということでした。
11月のオランダ通り「すろおが」での個展が楽しみです。