蜂谷秀人のツール・ド・フランス レポート「銀輪の国から6」

好きで始めたツールドフランスの撮影だが、経験を積めば積む程、悲観的になってしまう。今回の撮影で最大の難所、マドレーヌ峠も疑心暗鬼の中、ホテルを早朝に出て、何とかたどり着くことが出来た。運転中は「封鎖になってないか?」着いたら、着いたで「置き場所はあるだろうか?」何とか置けても「機材を持って、頂上まで行けるだろうか?」と心配事のオンパレードである。有名な山はファンが前日から少しの隙間でも巧みに駐車している。
実際、今回は頂上を越えて2キロ下った所になった。標高2000m、8パーセントの勾配を疲れが溜まった体で歩くと思うだけで気が滅入る。それでも何とか頂上に着くと、世界中のファンでごった返していた。よくもまあ、これだけ馬鹿がいるものだ。しかし、岡山から来ている自分もウルトラ級の馬鹿である。ここまで来てやっと心配のタネが消滅していた。馬鹿を実感すれば、心配事のほとんどは消え失せるのかもしれない。アビヤント!