蜂谷秀人のツール・ド・フランス レポート「銀輪の国から11」

一見、小川みたいだが、これはミディ運河である。何と世界遺産に登録されいる由緒正しい運河なのだ。この地域の主要都市トゥールーズと地中海の間、240キロを結ぶ。17世紀頃の建造で水門など最高技術の土木工学が用いられている。
フランスの世界遺産と言えば、モンサンミッシェルを思い浮かべる人が多いが、見方を変えれば有名観光地とも言える。それに比べ、ミディ運河は非常に地味に映る。しかし、今だに実用されているのが立派である。一人の塩税徴収請負人の並々ならぬ情熱が、この大事業を成し遂げたと聞く。このへんは、岡山藩の家老津田永忠を思い起こさせる。彼の偉業を世界遺産に申請しようと云う話もあるようだが、ユネスコ本部はフランスにある。何となく、ミディ運河に先を超された感があるのが残念だ。アビヤント!